2008年12月15日月曜日

Happy Holidays!


皆さん、どうぞよいお年をお迎え下さい。

来年も何卒宜しくお願いします。

熊谷芳江
Sweet River Enterprises

*では、パタゴニアに行ってきます。今朝のホワイトホースの気温はマイナス28度。チリのサンティアゴは今日+30度前後。気温差50度を楽しんできます。

2008年12月3日水曜日

スキーシーズンの到来




夏が終わり、パドリングに8ヶ月間の別れを告げて溜息をついていたのが9月。10月は日本に行って温泉と美味しい料理をたんと楽しみ、ホワイトホースに戻るとそこはもう、白銀の世界。今年の11月は、例年に比べて積雪量が多く、11月上旬からもうホワイトホース市内でもクロスカントリー・スキーを楽しむことができました。

スキーに行くペースは、平均週3回。昼休みに仕事を抜け出して、地元のクロカン場へイソイソと通う私。全身運動になるクロカンは、体力作りにはもちろんのこと、冬のユーコンの森をちょっとゆったりと楽しむには、絶好のスポーツなのです。

先々週から10日間は、出張でモントリオールとバンクーバーに滞在。ワインとケベック料理でなんとなく太った感じがしていたものの、ホワイトホースに飛んで戻った数時間後には、友人の車にスキーを積み込みクルアニ国立公園へ。スキーを履いて山を登っては滑り降り、スキー三昧の週末を楽しみました。

ユーコンの良さというのは、何といってもこの自然の身近さと、同じ趣味を持つ友人の密度の濃さ。都会に行くと、ユーコンなんて辺鄙な場所に住んでいることをちょっと哀れに思われることもありますが、なになに、地元民は「これでいいのだ」と堂々と構えています。

カナダでも、やはり都会に住むと、ある程度の「ウィルダネス」を求めるなら数時間のドライブが必要になり、しかしそれでもやはり人を避けることはなかなか難しいのですが、ユーコンは裏庭からアプローチしても、全く人に出会わないようなトレイルが方々に延びているのです。

って、まあ、こういうことを「自慢」すること自体、ちょっと変わっているのかもしれませんが、、、。

ということで、相変わらずユーコンの自然に惹かれ続けている私ですが、2週間後には再び飛行機に乗り、2度目のパタゴニアです。今回は、主にアルゼンチン側に滞在予定。期間は1ヶ月。日本では、友人たちに「Yoshiの生活、絶対おかしいって」「なんでそんなに休みが取れるんだ」と様々なコメントをいただいてきましたが、「いやあ、なぜでしょうねえ、、、」。これもやはり、ユーコンの良さ、なのでしょうか。

2008年11月11日火曜日

Be-Pal


今月号(12月号)のBe-Palに書かれている野田さんのエッセイ「のんびり行こうぜ」が今朝、友人からファックスで届きました。サブタイトルは、「若者よ、留学するなら自然の中だ」。

Sweet River Enterprisesの経営と平行してYukon Collegeという地元のコミュニティー・カレッジに勤めて早8年。ここで、留学生受け入れのための企画やリクルート、留学生のお世話などに携わってきました。そして3年前に、自分が32日間のアウトドア・リーダーシップ・プログラムを経験し、そこで生まれたのが、日本の若者に同様の経験を紹介したいという新たな夢/目標/企み。机上の勉強だけでなく、外で実際に自分の手を汚し、触れ、外国人のインストラクターの動きを観察し、自然の中で学び、考え、感じ、インストラクターや他の参加者と意見を交わし、そこから得るものを体験して欲しいという強い思い。語学は、伝えたい想いがあれば、きっと付いてくる。

そんなアイディアに最初に賛同してくれたのが、早稲田大学。去年の夏からスタートした様々な出会いが繋がり、育まれ、1年後、早速のプログラム実現となったのです。

そして今年の8月、ホワイトホースの空港に降り立った13名の学生と早稲田大学職員の方との17日間は、本当に素晴らしい時間でした。学生の体力や語学力など、未知の部分が多かったプログラムを、こちらが期待していた以上のものにしてくれたのは、学生でした。彼らの素直さ、勘の良さ、ユーモアのセンス、笑顔、チャレンジ精神、、、。7日間、自分たちが野生地で過ごすのに必要な衣類と道具、食糧を全て担ぎ、荒野へ。アウトドアに殆ど無縁な生活をしていた彼らが、ユーコンの自然とアクティビティを受け入れ、自分の物にしていっている姿を見るのは、本当に微笑ましく、楽しく、頼もしいものでした。

そして、同大学出身の野田さんとの1日。生徒たちは恐縮しながらも、野田さんと川の上で時間を過ごし、最後は日本の自然を考える討論会の時間を得、プログラムを終えたのです。私が初めて野田さんと出会ったのも、彼ら位の年齢。丁度、自分の人生をどう生きるか悩んでいた時代。あの時、「君は大丈夫だからユーコンに行け!」と背中を押してくれたのが野田さんで、今、私はここにいるのです。今回の野田さんとの出会いから、学生にも色々な想いが生まれたようで、それは、とても素晴らしいことだと思うのです。一人の学生が野田さんとの話を終えた後、私の所に来て言いました。「Yoshiさん、僕も、ああいう大人になりたいです」

もし、私がユーコンに来ずに日本にいたら、何をしていたか、、、。時々、考えます。答は、学校の先生。「教育」というものに携わりたいという想いは、昔からあったのです。でも、今、自分が、自分の好きな舞台で、ちょっと違う角度でその分野に足を突っ込み、学生に出会い、語らえていることを、本当に嬉しく思います。

「屈強な姉さん」、、、早稲田大学の学生からいただいた、私のあだ名です。もう少し可愛い名前にして欲しかったですが、仕方ありません。その「屈強な姉さん」は、日本に帰って頑張っている学生を思う度、笑顔になります。彼らと出会えて、本当に、良かった。

2008年10月4日土曜日

Event in Tokyo

ちょっと照れるし、ちょっと戸惑いもあるのですが、初めて講演たるものを頼まれ、今度、そういう場で話をすることになりました。メール越しでも分かるくらいに緊張気味の私に、主催者の方からは「リラックスした雰囲気でいいですから」というメールが返ってきました。しかしやはり緊張するわけで、一体どういう話ができるか分かりませんが、でもお知り合いの顔があったら少しは緊張もほぐれるかと思い(いや、逆かな?)、詳細が届いたので、ブログを通してご連絡です。

10月22日(水)14:30-16:30
日比谷三井ビル945号室「創相の場」会議室
参加費1500円(ドリンク付)。先着30名

ということで、予約制のようです。もし、昼間に時間のある方、興味のある方は、私宛メールでご連絡ください。私の方から、主催者側に連絡します。

テーマを書いていませんでしたね。テーマはなんと、「ユーコンの魅力に青春をかける」だそうです。
私が付けたのではないのですが、、、。このテーマに沿うよう、私がユーコンに来たきっかけ、そこからのスタート、ここでの生活、ユーコンのユニークな友人の話、旅の話などを通して、ストーリーと写真でユーコンの魅力をお伝えできればと思っています。

ということで、イベントのお知らせでした。

2008年9月30日火曜日

秘宝




ユーコンの懐の深さを感じるのは、こういう風景に出会った時。


ユーコンに暮らして13年目の夏。独りで3週間のクライミングの旅に出ていた友人を迎えに、片道10時間以上も車を走らせた。今まで走ったことのないハイウェイ。舗装がされておらず、また車も殆ど通らない道のため、出発前にホワイトホースの友人たちから散々注意を受け、万が一に備えてキャンプ道具、食糧などをたんまり詰め込み、旅に出た。前日の雨で更に条件の悪くなった道を、慎重に、ゆっくり運転する。


長時間のドライブに、ちょっと疲れてきた頃だったか。。。それまでポプラとスプルースの森に囲まれていた視界が急に開け、そこには、美しく紅葉したツンドラの大地が広がっていた。「うわあ、、、」。車の中、独りではしゃぎ始めた。それまでは黙々と運転していたけれど、美しい風景は不安や疲れを一蹴してしまった。走っては止まり、写真を撮り、「きれいだねえ」と独り言を言っては次々に目の前に現れる素敵な景観を楽しむ。


到着予定の午後3時を30分ほど回ったところで、ハイウェイの脇、自分のバックパックに腰掛け、キャンピング・ストーブで紅茶を作りながら私を待っていた友人を見つける。ちょっと無い場所での再会。3週間雪と風とお日様にさらされていた友人の顔をしみじみ眺めながら、迫力ある冒険談を聞きながら、来た道をまた引き返す。
友人は、一番上の写真の湖を越えたところに見える山の更に奥深くから、道なき所、木を掻き分けながら歩いて、ハイウェイに辿り着いた。「明日クライミングのポイントを出発するけど、迎えに来れる?」という衛星電話での連絡から1週間。予告通りの日時にハイクアウトしたことに感嘆してしまう。私が持ってきた生野菜を嬉しそうに食べ、ビールを美味しそうに飲んでいた。


ホワイトホース往復の走行距離、1700キロ。私にとっても、ちょっとした旅となった。遠かったけれど、ユーコンでまた、素敵な場所を発見してしまった。


2008年8月18日月曜日

人生観を変える場所


就職活動で悩んでいた時期に、アラスカに出会った。

これからの人生を歩んでいく場所を探している時に、ユーコンに暮らし始めた。

これまでの人生で一番辛い思いをした時に、ユーコンの北極圏を流れるファース川を旅した。

そして今回、自分自身を見つめ直す必要がある時に、北極圏の島で自分の心と向き合う機会に恵まれた。


こうして考えてみると、私が今までの人生の節目節目で出会った場所は、やはり北の大地なのです。自分の意志と行動で実現したものもあるし、友人からの支えがあって実現した旅もあります。その出会いの瞬間を捉え、心から感動し、「ああ、やっぱり北が好きなんだよなあ」、そう確認できる時、私には笑顔が戻り、もう一度踏ん張ることができるようです。


今年の夏の、北緯73度、ツンドラの大地とベルーガ(シロイルカ)との出会いに、心から感謝。


2008年7月31日木曜日

Friends


昔、この上なくひとり旅を好む時期がありました。20代。どこへ行くのでも、ひとりで大丈夫。あの頃は、誰かに「一緒にネパールに行かない?」なんて声をかけるなんて、考えもしませんでした。最初からひとりでどこに行きたいかを考え、計画を立て、当たり前のように出かけて行っていた私。ひとりで何かをやり遂げることに、価値を見出していた頃。


それが、ユーコンに移り住んで、少しずつ変わっていきました。今でもひとりで旅をすることもあるし、それはそれで、新しい出会いもあって楽しいものです。でも、ここで「誰かと楽しむこと」を学んだのも事実。ひとりでいる時に、ふと「寂しい」と感じるのも、私には比較的新しい感情であり、時々、それとどう付き合っていいのかとまどう位なのです。
何がきっかけだったのか。野生動物が多いユーコンの自然環境の中で、安全に楽しむために人と出かけるようになったのか。カヌーという、パートナーが必要なアクティビティにはまったからなのか。ガイドという仕事を通して、人と楽しむことに慣れたのか。同じ趣味や価値観を持つ友人が増えたからなのか。それは、カナダにいる間に限りません。日本に帰っても、とにかく「会いたい人」が増え、滞在中はいつも誰かといることが多くなりました。


週末になれば友人たちとカヌーに出かけ、こういうグループ写真を笑顔で撮ることに楽しみを感じるようになった私。色々考えてはみても、ただ単純に、年を重ねて少し成長できたからなのかもしれません。

2008年6月25日水曜日

Bike Trip to Juneau





初めて自転車にパニエを付けて向かった先は、アラスカの州都、ジュノー。スキャグウェイからフェリーで6時間。東南アラスカの美しい海と豊かな森に囲まれた町を自転車で走った。

最初は、左右に付けたパニエの重さでバランスが取れず、倒れそうにもなったけど、そこは筋肉の付いた足でしっかり踏ん張る。


公共交通機関の乏しい北での生活では車に乗ることが多いけれど、こうして自転車で走ってみると、車の騒音や排気ガス、スピードが本当に嫌になってくる。そして、静かで、人力に限った自転車のスピードが、とても心地よく感じる。フェリー乗り場でも、町でも、自転車で旅をしていると声をかけられることが多い。まあ、今回は女4人旅だったから、余計そうだったのかも。


自転車での旅のもうひとつの魅力は、そのシンプルさ。パニエと荷置きに積める分しか持てないから、徹底して「ある物」だけで旅することになる。車だと、ついつい買い物をしたり、余計な装備を持って行ったりしがちだけど、今回の旅ではミニマム生活を楽しんだ。友人はテントまで省き、タープだけ持参して、森の中で寝ていた。ただ、帰りは、皆どうしても「アラスカン・ビール」を持ち帰りたくて、パニエにしっかり6本づつ詰め込み、ヨロヨロしながらペダルを漕いだけれど。


カヌーカヌーカヌーの夏、久々に趣向の違うアウトドアの旅を楽しんだ。


2008年6月9日月曜日

Surprise!


今日カヌーに出るために、昨夜は友人の家に宿泊していました。

友人に朝起こされ、窓の外を見ると、、、雪!!??


今、何月だったっけ?昨日は確か、Tシャツで町を歩き、外のデッキで友人たちとワインを飲んでいたような、、、。


カヌーの上に積もった雪。楽しみにしていたカヌーは中止。せっかくの日曜日が、もったいない、、、。

2008年6月3日火曜日

Fish on




ホワイトホースから車で約5時間。クルアニ国立公園、タッチンシニ州立公園を抜ける素晴らしいドライブの果てにあるアラスカの小さな港町へインズは、遊びの宝庫。これまで、観光ツアーのガイド中、ただ何となく通り過ぎることが多かったこの町に去年1週間滞在し、遊び場所を開拓した私は、町とその周辺の自然の魅力を再発見してしまいました。なかでも、へインズはサーモン・フィッシングで知られています(以前、この話題はMixiにて紹介しました。そう。1週間もへインズにいて、1匹も釣れなかった、あの旅です)。


今回は、釣りの敗者復活戦。今まで、買ってもカナディアンタイヤの安い竿しか持っていなかった私が、今回はちょっといい竿を仕入れ、いそいそと友人たちと5人でへインズへ。今回の狙いは、アークティック・チャー(北極イワナ)。いや、釣れた釣れた。釣りの下手な私が、釣竿を振り始めて10分弱で大物を釣り上げたのを始め、皆の竿にも魚がかかりっぱなし。ものの4時間で、27匹のアークティック・チャーが私たちの手元に残りました(型の小さい魚は、川に返しました)。


27匹中何匹が私の釣った魚かって?27を5で割ると、一人平均5匹ですねえ。でも、私が釣ったのは、最初に釣り上げた1匹のみ!優しい友人たちは、「でも、Yoshiのが一番サイズが大きい!」と思い出したように何度も慰めてくれましたが、私の釣りの腕に、竿の良し悪しは関係なかったようです、、、。


次は、サーモンを狙いに行きます!







2008年5月28日水曜日

初カヌー



週末、今季初のカヌーに出かけた。漕ぎ初めは、例年通りタキニ川。


カヌーを水に浮かべた瞬間、笑顔になった。

空を見上げ、山々を愛でる。

気の合う友人たちとの、極上の時間。

私がここに住む理由は、この瞬間にある。


今年も、夏がやって来た。

2008年5月13日火曜日

今年のカヌーツアー

今年も、ユーコン川のツアーのガイドに出ます。もしかしたら、私とジョー・ビショップのガイドコンビで久々に川に出ることができるかも。



Sweet River Enterprisesを設立して早11年。今でもやめずに続けているのは、自分がここにいることの意義を失わないため。私がなぜここに住んでいるのか。その答の殆どがユーコンの川と、それを取り囲む自然の中にあると言っても過言ではないかな。



そんな私にとって、原点とも言えるユーコン川を、皆さんと一緒に旅して、カヌーの上で昼寝しながら、釣りをしながら、焚き火を見つめながら、思いを共有することを楽しみにしています。



ツアーの詳細は、以下のリンクからご参照下さい。

http://shogai-kando.com/10lineup/ism3canoe/index.html

2008年5月9日金曜日

Dream



ユーコンの男友達がよく口にする夢は、「いつか、自分で自分の家を建てる」こと。その夢を、仲間内で一番最初に実現しているディラン。


ツール・ベルトを腰に巻き、金づちを力強く振る姿に、思わず、拍手。

2008年3月18日火曜日

Back Country Skiing



あと3日でアジアに向けて出発。都会を歩く自分の姿を想像しては、「帰ってきた時にはもう、スキーができないかもしれない」という焦燥感にかられ、ここのところ、毎日のように滑っている。

1月から、平日週5日はクロスカントリー。週末1日はバックカントリーと、忙しい日々(?)を過ごしてきた。先週末も、ユーコンでの今季「滑り納め」を胸に、カナダとアラスカの国境、「ホワイト・パス」へ。5回ほど、滑っては歩いて登り、滑っては歩いて登り、、、を繰り返し、ヘトヘトになりながらも素晴らしいパウダーにはしゃぎ、滑り終わった時にはI love skiing!と叫んでしまった。

4年ぶりに一緒に滑った友人から、「Yoshi、上手くなったなあ」とお褒めの言葉をもらい、上機嫌になる。これも、休みとくればスキー、、、無理やり休みを取ってはスキー、、、という日々を過ごしたお陰?
今度は、「きれいに、格好良く滑る」ことが課題。これが、難しい。

今週末からの韓国と日本滞在。ソウルで、福岡で、東京で、一体どうやって体力作りを継続するか、悩むところ。皇居周辺を走る自分の姿は想像できない。やはり、慣れない靴を履いての都会での早歩き、、、以外にないのだろうか。

2008年2月22日金曜日

ユーコン・クエスト




2日ほど前から、ホワイトホースに続々とユーコン・クエストのマッシャーがゴールしています。今年の優勝者は、アラスカン・マッシャーのランス・マッケイ。彼は、なんと4年連続でのクエスト制覇。37歳の若きマッシャーは、強靭としかいいようのない精神力と体力の持ち主です。

今年のクエストは、フェアバンクス出発。当日は-46度で、出発早々棄権するマッシャーが相次ぎました。その数日後、気温が極端に上がり、現在ホワイトホースは+4度、、、。雪が溶け始め、すっかり春の陽気です。

ユーコン・クエストの走行距離はフェアバンクス-ホワイトホース間の1600キロ。距離ではアンカレッジ-ノーム間で行われるイデタロッドより短いものの、チェックポイント間の距離の長さから、「世界で最もタフな犬ぞりレース」と言われています。

ところで、このユーコン・クエストのルート、最初に犬ぞりで走ったは、実は日本人だった、、、という事実をご存知でしょうか?彼の名前は和田重次郎。彼は、有名な「アラスカ物語」のフランク安田とほぼ同時期に極北に暮らしていた、日本人マッシャーなのです。彼は、フェアバンクスで砂金を発見し、そのニュースを知らせるために、ホワイトホースまで犬ぞりで駆けつけ、その時に走ったコースが、後にユーコン・クエストのルートになったということです。ちなみに、先述したイデタロッドも、この和田重次郎がコースを開拓したとのこと(http://www.wadajujiro.jp/)。そんなにも昔に、北の魅力に惹かれた日本人が、この北の大地を自由に冒険していたことを想像すると、圧倒される思いがします。

フェアバンクス出発の年は、ホワイトホースの町のクエスト熱はそこまで上がらないことが常。しかし、私の友人の熱烈クエスト・ファンたちは、毎日、夜中までゴールするマッシャーを見に出かけています。日本の皆さんも、ウェブサイトを通して、是非、クエストの雰囲気を味わってみてください。http://www.yukonquest.com/

2008年2月19日火曜日

ウィンター・ブルー

冬至の日を境に、ユーコンの日照時間はグングン延びる。どの位延びるかというと、1日あたり約6分延びる。

12月。朝11時前後にようやく空が明るくなり始め、そして午後4時にはもう真っ暗な状態になる。だから、私たちは毎日暗い空を見ながら出勤し、帰宅する。

悲しいことがあったり、寂しい気持ちになると、この暗さは結構、心に染みる。太陽が、とてもとても恋しくなる。その上にマイナス30度などとなると、もうどうしようもなくなったりもする。

だから、冬至の日には皆、お祝いをする。春に向けての、お祝い。

2月。夕方4時半に仕事場を出ると(早いって?)、まだ充分太陽が高いところにある。すぐに家に帰り、着替えてクロスカントリー・スキーに出かける。もう、6時半までは充分にヘッドランプ無しで滑ることができる。グングン、グングン、日が延びていることを体で感じる。

少しづつ、前進する。ウィンター・ブルーを吹き飛ばす。

高校時代に大学受験を控えた頃、卒業文集に友人が書いた一文。

春は来る きっと来る あなたにも そして私にも

2008年2月1日金曜日

It's 2 cold

新しいブログサイト最初の話題が「寒すぎる!」というのは不本意ですが、ここ1週間ほどマイナス40度の日々が続いており、徹底したインドア生活を強いられています。

今朝の気温はマイナス44度。マイナス40度を超えると、窓から見る景色は霧で真っ白になり、目に見える空気が重くなります。外出するならば、帽子、コート、スノーパンツ、手袋、ウィンター・ブーツという基本的な防寒着の着用はもちろんのこと、口のまわりをしっかりとスカーフなどで覆う必要があります。3日前、車のエンジンがスタートしなかったので仕事場まで歩いた私は、この部分を多少怠ったため、肺にダメージを与えてしまい、1日中咳が止まりませんでした。

ユーコンに暮らし始めた1年目の冬、九州でヌクヌクと育った私はこの寒さが珍しく、随分色んな実験をして「楽しく」暮らしました。バナナを凍らせて、本当に釘が打てるのか?卵を凍らせるとどうなるか、、、。

ユーコン人の間では、夏の過ごしやすい時期だけここに暮らす人を「チチャコ」と呼んでからかい、厳しい冬を3回越した人を「サワドー」と称します。「これで、君もりっぱなユーコン人だ!」ということでしょうか。ここで初対面の人に自己紹介すると、必ずと言っていいほど「ここに住んで何年になる?」と聞かれます。旅行者にはとてもオープンでフレンドリーなユーコン人も、人の出入りが激しい土地柄だけに、地元での人との付き合いには警戒心も強いところもあるのです。長く住めば長く住むほど、地元の人々からの信頼が厚くなる、、、。これは、ここに12年暮らしてから感じることです。

しかし、そのサワドーも1週間続くこの寒さには閉口しています。先日は、玄関を開けようとして鍵がポッキリ折れました。ホワイトホース発着の飛行機が続々欠航になり、スペインへの休暇を楽しみにした友人が不機嫌な顔をしています。今週末にはマイナス30度まで上がるという予報が出ています。マイナス30度を「暖かくなる」、と表現するのもどうかな、、、という微妙なところです。