2008年2月22日金曜日

ユーコン・クエスト




2日ほど前から、ホワイトホースに続々とユーコン・クエストのマッシャーがゴールしています。今年の優勝者は、アラスカン・マッシャーのランス・マッケイ。彼は、なんと4年連続でのクエスト制覇。37歳の若きマッシャーは、強靭としかいいようのない精神力と体力の持ち主です。

今年のクエストは、フェアバンクス出発。当日は-46度で、出発早々棄権するマッシャーが相次ぎました。その数日後、気温が極端に上がり、現在ホワイトホースは+4度、、、。雪が溶け始め、すっかり春の陽気です。

ユーコン・クエストの走行距離はフェアバンクス-ホワイトホース間の1600キロ。距離ではアンカレッジ-ノーム間で行われるイデタロッドより短いものの、チェックポイント間の距離の長さから、「世界で最もタフな犬ぞりレース」と言われています。

ところで、このユーコン・クエストのルート、最初に犬ぞりで走ったは、実は日本人だった、、、という事実をご存知でしょうか?彼の名前は和田重次郎。彼は、有名な「アラスカ物語」のフランク安田とほぼ同時期に極北に暮らしていた、日本人マッシャーなのです。彼は、フェアバンクスで砂金を発見し、そのニュースを知らせるために、ホワイトホースまで犬ぞりで駆けつけ、その時に走ったコースが、後にユーコン・クエストのルートになったということです。ちなみに、先述したイデタロッドも、この和田重次郎がコースを開拓したとのこと(http://www.wadajujiro.jp/)。そんなにも昔に、北の魅力に惹かれた日本人が、この北の大地を自由に冒険していたことを想像すると、圧倒される思いがします。

フェアバンクス出発の年は、ホワイトホースの町のクエスト熱はそこまで上がらないことが常。しかし、私の友人の熱烈クエスト・ファンたちは、毎日、夜中までゴールするマッシャーを見に出かけています。日本の皆さんも、ウェブサイトを通して、是非、クエストの雰囲気を味わってみてください。http://www.yukonquest.com/

2008年2月19日火曜日

ウィンター・ブルー

冬至の日を境に、ユーコンの日照時間はグングン延びる。どの位延びるかというと、1日あたり約6分延びる。

12月。朝11時前後にようやく空が明るくなり始め、そして午後4時にはもう真っ暗な状態になる。だから、私たちは毎日暗い空を見ながら出勤し、帰宅する。

悲しいことがあったり、寂しい気持ちになると、この暗さは結構、心に染みる。太陽が、とてもとても恋しくなる。その上にマイナス30度などとなると、もうどうしようもなくなったりもする。

だから、冬至の日には皆、お祝いをする。春に向けての、お祝い。

2月。夕方4時半に仕事場を出ると(早いって?)、まだ充分太陽が高いところにある。すぐに家に帰り、着替えてクロスカントリー・スキーに出かける。もう、6時半までは充分にヘッドランプ無しで滑ることができる。グングン、グングン、日が延びていることを体で感じる。

少しづつ、前進する。ウィンター・ブルーを吹き飛ばす。

高校時代に大学受験を控えた頃、卒業文集に友人が書いた一文。

春は来る きっと来る あなたにも そして私にも

2008年2月1日金曜日

It's 2 cold

新しいブログサイト最初の話題が「寒すぎる!」というのは不本意ですが、ここ1週間ほどマイナス40度の日々が続いており、徹底したインドア生活を強いられています。

今朝の気温はマイナス44度。マイナス40度を超えると、窓から見る景色は霧で真っ白になり、目に見える空気が重くなります。外出するならば、帽子、コート、スノーパンツ、手袋、ウィンター・ブーツという基本的な防寒着の着用はもちろんのこと、口のまわりをしっかりとスカーフなどで覆う必要があります。3日前、車のエンジンがスタートしなかったので仕事場まで歩いた私は、この部分を多少怠ったため、肺にダメージを与えてしまい、1日中咳が止まりませんでした。

ユーコンに暮らし始めた1年目の冬、九州でヌクヌクと育った私はこの寒さが珍しく、随分色んな実験をして「楽しく」暮らしました。バナナを凍らせて、本当に釘が打てるのか?卵を凍らせるとどうなるか、、、。

ユーコン人の間では、夏の過ごしやすい時期だけここに暮らす人を「チチャコ」と呼んでからかい、厳しい冬を3回越した人を「サワドー」と称します。「これで、君もりっぱなユーコン人だ!」ということでしょうか。ここで初対面の人に自己紹介すると、必ずと言っていいほど「ここに住んで何年になる?」と聞かれます。旅行者にはとてもオープンでフレンドリーなユーコン人も、人の出入りが激しい土地柄だけに、地元での人との付き合いには警戒心も強いところもあるのです。長く住めば長く住むほど、地元の人々からの信頼が厚くなる、、、。これは、ここに12年暮らしてから感じることです。

しかし、そのサワドーも1週間続くこの寒さには閉口しています。先日は、玄関を開けようとして鍵がポッキリ折れました。ホワイトホース発着の飛行機が続々欠航になり、スペインへの休暇を楽しみにした友人が不機嫌な顔をしています。今週末にはマイナス30度まで上がるという予報が出ています。マイナス30度を「暖かくなる」、と表現するのもどうかな、、、という微妙なところです。