2010年2月9日火曜日

Backyard


















週末は、ホワイトホースから車で約30分の郊外に住む友人の家に遊びに行き、彼らの「裏庭」でスノーシューを楽しんできた。

その「裏庭」の風景は写真の通り。彼らの持つ土地の広さは15エーカー(日本では何に換算するのが一番分かりやすいのだろう、、、。坪だと18,363坪)だけど、だからといって彼らの敷地が柵に囲まれているわけではない。彼らの家の辺りには、彼らが作ったスノーシュー・トレイルが延々と延びており、昨日散策したループは、周るのに1時間半かかった。



「昨日は、リビングの窓の下にムースの親子が遊びに来ていてね、、、」リンの話を聞いていたら、案の定足元にフレッシュなムースの糞。



写真家のポールが立ち止まって何か真剣に撮影していると思うと、そこにはリンクス(オオヤマネコ)の足跡。ここに10数年暮らして、まだリンクスの姿を自然の中でみたことがない私。ポールは「この辺りには今約8匹いて、時々姿を見かけるよ」と言う。遠い湖まで延びるその足跡を見て、力強い手足で慎重に、そして自由に歩き回るリンクスの姿を想像する。



スキーで冬の森を駆け抜けるのもいいけれど、こうしてスノーシューを履き、ゆっくりしたペースで森を散策すると、いつもよりそこに暮らす動物たちとの距離が近く感じられる。



2月上旬にして+1度。透き通った青空の下、笑顔の日曜日を過ごした。

2010年1月26日火曜日

Today

いつも、楽しいこと、好きな友人たちのこと、きれいな場所、感動した瞬間、、、と、ポジティブなことばかりをブログに書くけれど、生きていればやはり辛いこともたくさんある。

よく、ここの友人と話すのは、「人とのコミュニケーションは人生最大のチャレンジ」だということ。一時期、特に大学時代は、自分の好きな空間で好きな友人とだけ付き合っていればいいこともあった。でも、今はそうもいかない。地域に関われば関わるほど、人間関係は広がり、そこには出会いの喜びもあるけれど、そうでない挑戦も生まれる。

今日、心にずっしりくる出来事があった。
その相手が、何故私に今、そのメールと写真を送ってきたのか、いくら考えても分からない。私が逆の立場だったら、絶対にしないこと。受け取る相手の気持ちを考えれば、絶対に送らないメール。意図的に、心を傷つけるために送られたメール。人は、場合によってこんなにクールになれるものか。

自分に無い、いいものを持つ人に出会うと、もっと知り合いたいと思い、そういう部分を学べればと思う。小さなステップかもしれないけれど、自分の弱点、改善すべき点もある程度認識し、自分を磨くために努力しなければという気持ちは持っている。だからこそ、今日のような出来事が起きると、これは自分のカルマなのか、一体自分が何をしたのだろうと疑いたくなる。

落ち込む私を見て、友人のディランがスノーシューに行こうと誘ってくれた。自分が見つけた秘密の渓谷を見に行こうという。夕焼け空の下、1時間ほど森を歩くと、そこには沈んだ心にも響く風景があった。「私、ちょと叫ぶから」。目の前に広がる山に向かって、お腹の底から叫ぶ。きれいな景色に向かって言う言葉ではないかもしれないけど、雄大寛大なユーコンの森はきっと許してくれるはず。ちょっと、スッキリした。

前を向いて行くしかない。

2010年1月19日火曜日

Powder













快適な家を建てたから、これからの週末は家で薪割りしてれば満足、、、というわけにはやはりいかない。

雪不足に苦しんでいたユーコンにも、ようやく冬の女神が降りてきた。先々週末のドカ雪を受け、早速友人たちとユーコンとアラスカの国境があるホワイト・パスに1泊2日のウィンターキャンプ、パウダースキー三昧に出かける。

どっさり雪が積もったスプルースの森は、深々とした静けさ。微妙なバランスで雪をたたえる枝はそれぞれに個性を持った姿をし、いくら眺めていても飽きない。ウィンター・ワンダーランドに、私たちは吸い込まれるように足を踏み入れる。

今年初のバックカントリーで、息を切らしながらもグングン登る。タフな友人たちが先頭を切って雪を踏み固めてトレイルを作ってくれる。雲が切れ、雪山が顔を出す。「私たちは、何て美しい所に暮らしているんだろう、、、」私がしみじみ言うと、シャノンが「Yoshiはいっつも自然に感謝感嘆するよね」と言って笑った。そう。ここに何年住んでいようが、この景色を何度見ようが、その瞬間瞬間、自分がそこにいることに感謝せざるおえないほどに、ここは美しい場所だと思う。

そして、その場所を更に素晴らしい場所にしてくれるのが、こうして一緒に冒険できる友人たちがいること。写真でも分かるように、寒かろうが、ちょっと不便だろうが、皆、いつも笑顔。自分が好きなことをしているのだから当たり前かもしれないけれど、やはり皆でこういう楽しい空間を作り出せるのは、それぞれがポジティブで、それなりの経験と自信と目的があるからだろうと思う(いや、私のスキーの腕の話ではないけれど)。
ジョージが、「脚が痛いー」と叫びながら滑り降りてきた私に聞いた。「How's your life?」「Just lovely」

幸せは、シンプルな場所と瞬間にある。私は、そう思う。

2009年12月29日火曜日

Joy




クリスマスの前日、ついに井戸水が蛇口から出て拍手。クリスマスの1日後に新しい薪ストーブに初めて火を灯して感動。

大晦日には、この家に初ステイです。

皆様も、どうぞ良いお年をお迎え下さい。




2009年12月16日水曜日

Hands On


「で、これが森を切り拓くために木を切ってくれた友人のJoeで、こっちがそれを薪のサイズに切ってくれたJonathanとSethで、、、」。千葉で、家の建築過程の写真を見せていた時に友人が一言。
「こんな作業をやれる友達に囲まれているってのが凄いよね」
「自分たちでやっちゃうんだもんなあ」
そう。私も14年前にユーコンに暮らし始めた時、知り合った人々が車の簡単な修理やリフォームなどを軽々とこなしてしまうのを見て驚いたことがある。日本だったら専門の業者に電話するよなー、ということまで、まずは自分たちでやろうとする。
今は、そんなハンディな友人たちに囲まれて生活しているから、自分の感覚もちょっと鈍くなり、今回の日本の友人のコメントがとても新鮮に耳に響いた。
今回の家の建築も、私は全て友人たちのお世話になっている。」
家のデザインは建築家の友人に。建築は友人の大工に。木の切り倒しは木こりの友人に。台所の組み立ては以前自分で家を建てた経験のある友人に。そのインストールも器用な友人に頼んだ。
自分が好きで信頼する友人たちの手がこの家に関わるのが嬉しい。そして、私も微力ながら手伝い、学びつつ、彼らと時間を過ごせるのが嬉しい(上の写真は、1日仕事を休んで台所の組み立ての手伝いにきてくれた友人が黙々と仕事をしている姿。下は私が棚の取り付けを学んでいるところ)。こうして、友人たちの優しい気持ちがこの家に吸収されていくのが嬉しい。
薪ストーブの火のごとく、柔らかい暖かみのある家になりますように。


2009年12月10日木曜日

Sourdough

巨大なシュークリーム?いえ、これ、生まれて初めて焼いたSourdough Breadです。

先日友人からサワドー菌を分けてもらったので、早速作ってみました。
形がこうなったのは、友人のレシピで「フタのある容器で焼くこと」とあり、「ここのところ、大切だから」と念を押されたものの、適当なものが無く、仕方なく陶器のソース・ポットのような物に入れて焼いた結果の形。途中、オーブンの中で勢いよくパンが膨らんで、乗ってた蓋を押し上げ始めた時はビックリしたけれど、でも、Sourdoughの酸味が利いた美味パンが焼けました。

「Sourdough」、この言葉は、ユーコンにしばらく滞在するとよく耳にする言葉です。100年+前のゴールド・ラッシュの時代、金を求めて山道や川を旅する人々は、パンを作るスターターであるこの「Sourdough」を大切に抱えていたといいます。そのため、以前も一度ブログに書きましたが、ここではこの厳しい冬を3回越した人々のことを本物のユーコン人になったという意も含めて「Sourdough」と呼びます。

で、今宵はSourdoughである私がSourdough菌を使ってSourdoughパンを焼いた、というわけです。

このSourdough菌、2週間に1度は小麦粉と水を足して培養していく必要があり、私の家で植物の次に配慮の必要な「生き物」となりました。今まで、どこかに長期で旅に出た結果、いくつかの「生き物」たちを裏切った経験がある私。その都度反省させられたのですが、今回は、さて、、、。最近、ある決心をしたので、その効果が発揮されれば、きっとこれからも家で美味しい手作りのパンを食べていけることでしょう、、、。きっと。

2009年11月30日月曜日

薪ストーブ







日本から戻り、時差で眠れない夜を過ごした翌朝、友人の電話で起こされました。

「頼まれていた薪、もう準備できてるけど、今日、配達に来ていいかな?」

はいはい、そうでした。日本に出る前、確かにこの友人に薪を注文していました。新しい家には薪ストーブが入るのですが、土地を切り開く際に切った木はまだ乾燥していないため、今年に限っては薪は買うしかないのです。

一気に「ユーコン生活」に引き戻された瞬間。ベットから起き出し、作業着のカーハーツを履くともう1ヶ月前の私。前日、千葉の友人宅で「最近お肌が、、、」と柄にもなく相談していた私は何処へやら、、、。

家の建築現場に行くと、トラックの荷台いっぱいの薪と共に笑顔で待っていた友人。早速「この薪はさあ、、、」と薪自慢。面白い。一緒に荷台から薪を地面に放り投げ、友人が去ると、今度はそれをきれいに積み上げる作業。乾いている薪は比較的軽いものの、それでもこれはひと作業。でも、地面に放っておくと湿気で薪が燃えにくくなるため、これはどうしてもやるべき仕事なのです。

とにかく、1ヶ月近く留守にしていた私には、家での仕事が山積み。自分の家の建築にはなるべく関わりたいからと、自分でオファーしたことなのですが。

で、最初に取り掛かったのは、薪ストーブを置く土台作り。友人宅で見た手作りのそれが気に入り、真似をすることにしました。まずは石屋さんで売り物にならない石を安価で売ってもらい、それを金槌で砕く。砕いた石で、モザイクを作っていく、、、。大工仕事は得意ではないけれど、これは非常に面白かった。で、翌日、友人のセスが来て、石の固定をしてくれました。私が学べるように、きちんと指導しながら、、、。さすが、本業はガイド?!で、2日後に完成。ここにもうすぐ、薪ストーブが入ります。

煙突がないと、サンタさんが来れませんからね、、、。これで、何とか間に合いそうです。