


コースは、ホワイトホースから西へ約154キロ、ヘインズ・ジャンクションというクルアニ国立公園の玄関口でもある町から、クルアニ、タッチンシニ・アルセックという、ユネスコ世界遺産に指定されている公園を抜ける超絶景のハイウェイを走り、アラスカのヘインズという港町までの238.3キロ。これが8区間に別れており、ソロ、2人、4人、8人というカテゴリーのチームで走り抜ける。
私たちは、6人のチーム。友人のジャレットが2区間を担当する。私は7区の担当で距離は37.5キロ。カナダとアラスカの国境を自転車で越えたくて、この区間を選んだ。前半の区間は山のアップダウンが激しく、後半はアラスカの海からの風に立ち向かいながら自転車を漕ぐことになる。
この自転車レース、なんと参加者1200人規模。朝からお祭りムードで、シリアスな人たちはかなり真剣にレースに取り組むけれど、後は、「とにかく楽しもう」というムードの参加者たち。私たちのチームも「海賊」のテーマの下、おそろいのストライプの靴下を履き、自転車には海賊の旗を立てて走った。沿道ではチームのメンバーが海賊のコスチュームを着て応援してくれる。
最近は皆の乗る自転車もどんどん高級化、高速化してきているけれど、私が乗っているこの自転車、大学時代にアルバイトのお金をはたいて買った一品。福岡は地元久留米の小さな自転車屋さんでフレームをオーダーメードして作ってもらった物で、大学時代に旅のために普段からケチケチ生活する私の足だった。カナダに移ってからも、どうしてもこの自転車をあきらめきれず、ある時飛行機に乗せてユーコンまで持ち帰り、そして未だに乗り続けている。このリレーにこの自転車で参加するのも3回目。時々、古い自転車に目を留めて「おっ。いい自転車に乗ってるねえ」と声をかけられることもあったりする。
さてさて、「リラックス・チーム」であるはずの私たち。でも結果は8人チームのカテゴリーで75チーム中13位。以前は2位になったこともある。私は遅いけれど、私の友人たちは基本的に普段からの鍛え方が違う人たちなので、「順位なんて気にしない」と言いつつも、速いんですね、やっぱり。
最後はヘインズの海を眺めながら、アラスカン・ビールで乾杯。運動した分のカロリーをしっかり取り戻す夜を過ごしました。