

2月14日、世界一過酷と言われる犬ぞりレースのユーコン・クエストがホワイトホースからスタートした。今回は、日本のテレビ番組取材のお手伝いをしていたために、いつもよりこのレースに深く関わった。
レースは、ホワイトホースとフェアバンクス間の1600キロで行われる。詳しい情報、また現在のレースの状況は、クエストのウェブサイト参照。http://www.yukonquest.com/
今年も、日本人女性マッシャーの本多有香さんが出場している。これが、彼女にとっては3度目の挑戦。仕事を通し、今回初めて彼女と言葉を交わす機会に恵まれたが、今までに会ったことのないほど率直で正直で、なんとも私の興味をそそる人だった。彼女がスタートを切る時には、心の底から応援した。前日には「レース、楽しんで下さい」と声をかけたが、この時はもう、「頑張って」と想うしかなかった。
そこから、約12日間の犬ぞりでの旅が始まった。マイナス50度にも下がるこの極寒の地で、彼女をこの挑戦に駆り立てるのは一体何なのか。それは多分、本人にしか分からないことだろうが、つい、考えてしまう。
顔を真っ赤にして、白い息を吐きながら犬を撫でる彼女の顔が、一瞬、昔映像で見た植村さんの顔に重なった。犬と人間、そこに成り立つ信頼関係が垣間見れた。
今、彼女は次のチェックポイントであるドーソンに向かって暗いトレイルを走っている。私も、10数年ここに暮らして初めて、レースを追ってドーソンに行く。レース中の彼女の表情を見ることを、とても楽しみにしている。